Review: Uniball AIR (三菱鉛筆)

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Uniball AIR(ユニボールエア)は2015年11月16日に発売された比較的新しい 三菱鉛筆社製のローラーボールペンです.

AIR – 空気のように軽い書き味

空気のように軽い書き味という表現は正直しっくりきませんが,筆記感は確かに軽いです. 0.5mm径のAIRで,Vision Elite(同社)やバイオニックワーカー(スタビロ) と同等でぐらいでしょうか.Vコーン(パイロット)やUniball Eye(同社)より軽いように感じます. ただ,0.7mm径のものは重めに感じます.
筆跡に濃淡が付くほどインクフローは多め.その一方で,乾きは遅いようなので注意が必要です.紙の質によっては,すぐにインクが浸透せずに,結構長い時間,紙の表面に留まることもあるようです.

筆記角度により描線幅が変化

AIRの最大の特徴は,立てて書けば描線が細くなり,寝かせて書けば太くなるするという風変わりな機構を搭載しているところです. 使っていて気づきませんでしたが,公式サイトによると.筆圧によっても描線の太さが変化するようです.
角度で描線の強弱がつけられるということは,トメ・ハネ・ハライの書き分けが必要な日本語の筆記を想定して作られたと思いますが,気分によって,太く書きたいときは寝せる,細く書きたいときは 立てるという使い方が出来て意外に便利です.

チップが樹脂で覆われている

チップ(ボールを保持している先端の金属部分)が本体と同じ色の黒色樹脂で覆われています. 筆記時に僅かにザリザリした抵抗感を感じるのはこの樹脂カバーの所為でしょうか? 個人的には好きな抵抗感です.ペン先の金属光沢が黒で遮蔽されるというところも, 私にとっては好都合です.
樹脂であるが故に,使っていくうちに摩耗して手に馴染むそうです(公式サイトより).数ヶ月使ってみましたが,私には実感できませんでした.

デザインは可もなく不可もなく

キャップは半透明で,グリップは滑り止めはなく,ツルツルのプラスチック. ペン先の辺りに変なデザインが施されていますが,これには特に意味は無いようなので,無くとも良かったと思います.全体的には可もなく不可もなくといったところです.

まとめ

Uniball AIRは,技術やコンセプトに関しては非常にユニークで他に類を見ないペンですが,その一方で実用性もきちんと兼ね備えています.筆記感は水性ボールペンの中でも最軽量級で, 同社のUniball Eyeより軽く,Vision Eliteと同等ぐらいではないでしょうか. インクの乾きが遅いという大きな欠点がありますが, それでも私にとっては,何となく手が伸びてしまうという不思議と魅力的なペンなのでした.

実験:ペーパークロマトグラフィーでローラーボール比較

概要

Vision EliteとUniball Eyeのインクの違いをペーパークロマトグラフィーで検証します. 両者のインクは見た目では区別できないものの, Vision Eliteの方が,Eyeよりも筆記時の抵抗感が僅かに小さく感じられるので, 何かが違うはず*1. 参考のため他のペンも加え,以下の6本を対象に実験を行います.

  • STABILO社 BionicWorker (バイオニックワーカー; BW)
  • Pilot社 V-corn (ブイコーン; VC)
  • Pilot社 Hi-tecpointV5 (ハイテックポイント; HP)
  • 三菱鉛筆Vision Elite(ビジョンエリート; 以下,VE)
  • 三菱鉛筆Uniball Eye (ユニボールアイ; Eye)
  • 三菱鉛筆Uniball Air (ユニボールエア; Air)

*1:購入直後のEyeはインクフローは若干渋めでしたが, 使っているうちに改善されてきました.Vision Eliteと感覚的に今は違いないように感じます. しかし,筆記抵抗は僅かに違う気がしています.

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Review: Textsurfer Gel (Staedtler)

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Textsurfer Gel(テキストサーファーゲル)は,ステッドラー社の蛍光マーカーペンです. 実用性はほぼゼロですが,個性的で面白いペンです.

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Review: Uni-ball Eye(三菱鉛筆)

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Uni-ball eye(ユニボールアイ)は,三菱鉛筆社製の水性ボールペンです. 上位版には,Vision Elite(ビジョンエリート) があります.Vision Eliteと比較しながら,簡単にレビューします.

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Review: Surface Pro 4 & Surface Pen (Microsoft)

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Microsoft Surface(マイクロソフト サーフェス)は,Microsoft社の主力タブレットPCシリーズです. Surfaceシリーズのラインナップは,Surface(無印),Surface Pro,Surface Bookの3種類. 性能は大雑把に言って,次のような関係になります.

(タブレット) < 無印 < Pro < Book < (ラップトップPC)

ラップトップPCとして,使えるのはPro以上ではないでしょうか. 本レビューは,Surface Pro4(執筆時点では最新)と付属のSurface Penに関するものです. 以下,Surface Proを単にSurfaceと呼びます. 無印のSurfaceを指しているのではないことに注意してください.

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Uni-ball Vision Elite(三菱鉛筆)

Uni-ball Vision Elite(ユニボール ビジョンエリート)は三菱鉛筆社製の キャップ式水性ボールペン. 品番はUB-200-05. 海外で先行発売された製品で,日本国内よりも海外の方で普及しているようだ. 機能的にもデザイン的にも非常に良いペンだが,国内では大手文具店でないと 売っていないのが残念*1. また,あのObama元大統領も使っていたという噂もある.

*1:2017年時点.販売店も減少傾向.

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コラム:ボールペンの選び方 (4) −− ゲルインクボールペン編

前3回の続きです.

ゲルインクボールペン

水溶性の溶剤に,ゲル化剤を配合したインクを搭載したボールペンを,ゲルインクボールペンといいます.ゲルとは,粒子と溶媒が混ざりあった物質*1で,固体と液体の中間の状態にあるもののことです.別に特別な物質でというわけではなく,ヨーグルトなど,身の回りにゲルはたくさんあります.

ゲルの中には,圧力がかかると液状化し,粘度が低下する現象(チキソトロピー)を示すものがあります.このチキソトロピー性をボールペンインクに利用するというアイデアを発案したのは,サクラクレパスです.1984年に,キサンタンガムをインクに配合することにより,ゲルインクの実用化しています*2.これにより,水性ボールペンの欠点が解消されるので,ゲルインクボールペンは市場を席巻し,革命が起きました.その仕組は,次項で述べます.

特徴および長所短所

ゲルインクボールペンの筆記メカニズムは次の通り,少し特殊です.

  1. 替芯内部のゲルインクは,静止時には高粘度状態で留まっている
  2. ペン先を紙に押し付けたとき,ゲルインクに圧力がかかり粘度が低下
  3. 液状化したインクが,そのままペン先から流れ出て紙に付着
  4. 付着後は,圧力から解放されるので,再び固まる

これにより,水性ボールペンの欠点であった,筆跡の滲みがなくなりました.しかも,紙の表面で固まるため,裏抜け(裏写り)しにくい*3という長所が加わりました.また,ゲルインクは従来の水性インクに比べて乾きにくく,ノック式にしても,ドライアップの心配がありません

筆跡も,水性インクと同様に,均一で発色も良好です.ボールペンの中では,一番きれいに文字を書けます.特に,小さな字の筆記に最適です.ゲルインクにも,顔料配合と染料配合の2種類があります.顔料タイプであれば,耐水性・耐光性も優れてるので,長期保存文書の作成,提出書類の記入に最適です.ただし,乾きが遅いので,筆跡を手で擦って汚やさないように気をつける必要があります.染料タイプは,耐水性が保証されないので,要注意です.提出書類の記入には,耐水性等検証してからの方が良いでしょう.染料タイプは,顔料タイプより速乾性に優れるので,普段使い向きといえますす.

ゲルインクは粘度が低いので,もちろん低筆圧で書けます.とはいえ,従来の水性インクよりも粘度は高いので,摩擦抵抗もそのぶん大きめです.rollerball(水性ボールペン)ほど,サラサラとした筆記感は得られません.rollerballよりも高い筆圧に耐えることができますが,やはり,複写書類の記入には向きません.代わりに油性ボールペンをおすすめします.

ゲルボールペンには,欠点らしい欠点は見当たりません.強いていうならば,斜め筆記したり,素早く線を引いたり,丸つけをしたりしたとき,ペン先がインクで汚れやすい点が欠点です.対して,rollerballは全く汚れないです.また,油性や水性ほど尖った個性もない点も,マニアには物足りないと感じるかもしれません.

代表的製品

  • 三菱鉛筆社:シグノ(Signo)
  • ゼブラ社:サラサ(Sarara),サラサドライ
  • パイロット社:ハイテックC(HI-TEC-C),ジュース(Juice)
  • ぺんてる社:エナージェル(Energel),エナージェルユーロ,ハイブリッド,スリッチ
  • サクラクレパス社:ボールサイン

シグノシリーズ(1994年)*4 には,キャップ式とノック式両方があります.キャップ式は「シグノ極細」,ノック式は「シグノRT1」が現在の定番です.ボール径のラインナップは,共に0.28mm,0.38mm, 0.5mmで,細字筆記向けといえます.シグノ極細の方は少しカリカリとした書き味で,一方ノック式は滑らかな書き味です(同じ 0.5mmボール径で比較して).両方共顔料インクです.

サラサ(2000年)*5シリーズは,ノック式ゲルインクボールペンの定番*6で,一番手に入れやすい製品です.名前通り,インクが潤沢に出るタイプです.こちらは顔料インク採用.速乾タイプの「サラサドライ」は染料インクとのこと.

ハイテックC(1994年)*7は,極小ボール径のパイオニアといえるボールペンです.ニードルポイントと小さなボールの組み合わせることにより,滑らかな細字筆記を可能にしています.染料インクらしいので,耐水性は低いかもしれません.現在は,ジュースシリーズの方に注力しているようです.

エナージェル(2003年)*8は,インク潤沢タイプのゲルインクボールペンです.ノック式・キャップ式の両方があります.搭載されているエナージェルインクは,ゲルから液体への変化が普通のものより速く,それが滑らかな筆記感を生み出してるとのこと.さらに,紙への浸透速度も速いため,速乾性に優れるとのこと.また,エナージェルシリーズは染料インクらしいです.サラサドライは顔料インクを染料インクに変更して,速乾性を実現しています.エナージェルの場合も,染料インク故に紙に浸透し易いということでしょうか.

ニードルポイントで細字筆記向けのスリッチシリーズ(染料)も展開中.1989年に発売されたハイブリッドシリーズ(顔料?)もまだ販売中の模様.

ボールサイン(1984年)は,ゲルインクボールペンのまさに開拓者です.現在は少し影が薄くなってしまいましたが,おもしろいデザインの製品もあったりして,一目おいています.搭載インクは顔料タイプです.やはり,主要他社製品に比べると,手に入りにくいです.

種類が多いので,表にまとめました.

インク 顔料 染料
チップ形状 砲弾 ニードル 砲弾 ニードル
  ボールサイン     ハイテックC(HI-TEC-C)
  ハイブリッド     エナージェル(Energel)
  シグノ(Signo)     スリッチ(Slicci)
  サラサ(Sarasa)      
  ジュース(Juice)      

チップ形状の「砲弾」は普通のボールペンの,円錐の先を切り落とした形状のことです. 顔料&ニードルと染料&砲弾の組み合わせが無いのが意外です.

まとめ

適度な筆圧で,滑らかな筆記感,筆跡の掠れや滲みもありません.目立った欠点がなく,オールマイティ.筆跡の見た目を重視する場合,細かい字を書きたい場合はゲルインクに限ります.個人的なおすすめは,キャップ式ならハイテックC,ノック式ならシグノRT1.

*1:コロイドのこと,例えば,牛乳

*2:「ボールサイン」というゲルインクボールペンを発売しています

*3:水性ボールペンに比べて.ゲルインクでも染料系は裏抜けしやすい.

*4:シグノスタンダードの発売年 http://www.zebra.co.jp/cop/history.html より.

同公式サイトより,シグノ極細は1996年.シグノRT1は2013年.

*5:http://www.zebra.co.jp/cop/history.html

*6:公式サイトには,キャップ式製品の記載はないので,ノック式に限ります

*7:http://www.pilot.co.jp/products/pen/ballpen/gel_ink/hitecc/

*8:http://www.pentel.co.jp/corporate/history/