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コラム:ボールペンの選び方 (3) -- 水性ボールペン編

第2回の続きです.

水性ボールペン(rollerball)

特徴および長所短所

溶剤が水溶性のものを水性ボールペンと言います.水性ボールペンのことを,英語圏ではrollerball(ローラーボールと呼ぶようです.水性ボールペンの定義に,ゲルインクが含まれるかどうかは曖昧なところですが,本記事では,ゲルインク以外の水性ボールペン,つまり,昔ながらの水性ボールペンを,rollerballと呼びましょう*1

  • 低筆圧でさらさら書ける
  • 筆跡が均一で掠れない
  • 筆跡が多少なりとも滲む
  • 顔料インクならば耐水性耐光性に優れる
  • 基本的にキャップ式

rollerballの最大の特徴は何と言っても低筆圧で流れるように書けることでしょう.しかも,摩擦抵抗も程よくあって,ペン先もコントロールしやすいです.ペン先からインクが潤沢に出て来るので,筆跡は均一で,書き出しの掠れもほとんどないです.筆跡が途切れる心配はないので,構想を練ったり考えながら,しかも大量に書くのに最適です.この点に関しては,唯一無二の存在です.その代償として,線幅は太くなるのは避けられません.細かい字の筆記には向きません(逆に,太く書きたい人にとっては長所になり得ます).また,筆跡はどうしても滲みます.滲みを抑えるためには,紙質に注意しなければなりません(例えば,万年筆向けの高級紙を使うなど)したがって,基本的に,提出書類の記入には向かないでしょう.

インクは水性なので,耐水性がない様に思われますが,顔料インクであれば,一旦乾いてしまえば,耐水性と耐光性は良好です.染料インクの場合は,筆跡の耐久性は低いです.乾かした後でも,流水でほとんど消えてしまいます.染料インクで書いた文書を保存したい場合は,速やかにスキャンしましょう.

水性インクゆえ,キャップでペン先を密封しないと,乾いて使えなくなってしまうこと(ドライアップ)があります.したがって,基本的には,rollerballはキャップ式です.例えキャップし忘れても,一日二日程度では,ドライアップしないので,それほど神経質にならなくてもよいでしょう.しかし,キャップ式が煩わしい人・キャップをよくなくしてしまう人には,向かないでしょう.また,ノック式rollerballもありますが,なんとなくですが,筆記感に関して,キャップ式に劣るように感じられます.ドライアップ防止機構が何らかの形で導入されているはずで,それが,rollerballの良さを損ねているのではないでしょうか(確たる根拠はないです).ノック式にこだわるのなら,次回紹介するゲルインクボールペンの方がよいでしょう.

商品展開は,低粘度油性・ゲルインクボールペンに比べて非常に弱いです.コンビニ等では基本的に売っていません.文具店・通販では扱われているので,そこまで心配する必要はなさそうですが….

代表的製品

主要メーカーの代表的な製品を以下の通りです.ただし,上でも述べた理由により,キャップ式に絞りました.ここでは紹介しませんが,海外製品の方がrollerballの種類は抱負です.

  • 三菱鉛筆社:ユニボールアイ,ビジョンエリート,ユニボールエア
  • パイロット社:Vコーン,ハイテックポイントVグリップ
  • ぺんてる社:ボールPentel

ユニボールアイ(1994年)*2ビジョンエリートは標準的なrollerballです.以下,カッコ内は発売年.両方とも,顔料インク採用です.ボール径は0.5mmのみです.

ユニボールエア(2016年11月26)*3 は少し特殊な新発売rollerballです.ペンの傾き角に応じて,描線の幅が変わるように作られています.ボール径は0.5mmと0.7mmの2種類(描線幅はそれぞれ0.3--0.5mmと,0.4--0.6mm)があります.

Vコーン(1991年)*4はロングセラーでかつ定価\100円と最廉価帯に属します.rollerballとしては標準的.インクについて,公式サイトで言及されていないので,不明です.ボール径は0.5mmのみ.

ハイテックポイントVグリップは,ペン先がニードルタイプのrollerballです.こちらは公式サイトで染料インク採用と明記してあります.ニードルポイントである利点は,正直なところ,私には思いつきません.ボール径が0.5, 0.7, 1.0mmと抱負なのが珍しいです*5

ボールPentel (1972年)*6 は,ペン先とボールが樹脂素材でできているのが最大の特徴です.インクの貯蔵形態も,中綿式(綿に染み込ませる)と珍しい.ほとんどのrollerballは直液式と呼ばれる形態です.この樹脂と中綿という組み合わせが,金属ボールとはまた違った独特な筆記感を生み出しています.もちろん低筆圧で書けますが,ザリザリとした抵抗感があります.長時間の筆記には向かないかもしれません.しかし,この金属フリーでリーズナブル(定価\100円)でレトロな雰囲気を漂わせた最古参rollerballを一度試してみてはいかがでしょうか.染料インク採用なので,耐水性・耐光性はありません.また,ボール径は0.6mmと,ここであげた他rollerballよりも若干大きめです.それに従い,描線幅も若干太めです.

まとめ

低筆圧で(太めの線で)大量に書きたい場合に最適です.筆跡が掠れたり,途切れたりしないので,思考を妨げることはありません.水性インクゆえ,筆跡は多少なりとも滲むので,提出書類の記入には向きません.個人的なおすすめは,Vision EliteとVコーンです.

第4回へ続く.

*1:rollerballにゲルインクボールペンも含まめる人もいるかもしれませんが,少なくともここでは,「rollerball=ゲルインク以外の水性ボールペン」とします.

*2:http://www.mpuni.co.jp/company/history_02.html

*3: http://www.mpuni.co.jp/news/pressrelease/detail/20151030203955.html

*4:2016年GoodDesign賞受賞:http://www.g-mark.org/award/describe/44654?locale=ja

*5:1.0mm径の国産現役rollerballは他にないかもしれません.

*6:http://www.pentel.co.jp/corporate/history/